宮城県仙台市にある在宅支援チームフォーレストの役員(理学療法士)がつづるブログです。
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介護保険法改正の議論開始
平成28年2月17日に、社会保障審議会の介護保険部会が開催されました。
要介護2以下の方々の
福祉用具や生活援助など一部サービスの全額自己負担(何らかの補助へ)、要介護2以下の方々の介護保険制度からの分離(地域支援事業へ)、介護度によらず原則2割負担(軽減措置へ)などの検討が開始されました。平成28年中に取りまとめが行われ、平成29年に介護保険法改正案を国会提出する方向です。
私は財務省のアドバルーンだと考え、既に決っている「平成30年4月の
居宅介護支援事業所の指定権限の市町村への移譲」の次の介護保険法改正だと思っていました。しかし、内閣で閣議決定される「骨太の方針」や、その「アクション・プログラム」に取り込まれれば、厚生労働省はそれに従って議論を進めるのは、当然の成り行きとも言えます。
社会保障審議会などで議論されてからボトムアップされていく過程とは異なります。

「骨太の方針」は小泉内閣から始まったもので、経済財政諮問会議にて議論され閣議決定される「
経済財政運営と構造改革に関する基本方針」「経済財政改革の基本方針」です。
今回は、「骨太の方針2015(平成27年)」に基づいています。これは、2020年度
に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するための財政健全化計画などを目標とした内容となっています。「社会保障と税の一体改革」のもとで実施される消費増税と社会保障の適正化という、現在進行中の流れを踏襲しています。
基本は、「緊縮財政政策」「経済タカ派」の考え方です。


しかし、今年の選挙やG7を機に、流れが変わるかもしれません。
私は、緊縮財政政策の行き詰まりが世界に広がり、「他の選択肢をとり得る国は、役割として方向転換すべき」という流れが、先日のG20で表面化してきたように感じています。
適切な金融緩和と財政出動を行う「リフレ政策」「上げ潮派」の流れが強まっていると感じます。
日本での手始めは、選挙やG7などのタイミングでの「消費増税10%の凍結」です。

いずれにしても、経済財政運営が先に答えを出してから「社会保障の姿」を考えるのではなく、「社会保障の望ましい姿」から考えつつ経済財政運営との整合性を取って欲しいものです。

フォーレストは、様々な側面に左右される社会保障制度の動向を踏まえ、備えて順次対応しています。楽観視せずに備えながらも、あるべき姿を常に模索して前提に考えつつ、建設的に進むべき方向をみいだしていきたいと思います。




現時点での介護保険法改正の成立事項
平成27年4月1日施行
 介護保険法(予防訪問介護・予防通所介護の地域支援事業への移行(29年度末まで))
平成27年8月1日施行
 介護保険法(一部2割負担)
平成28年4月1日施行
 介護保険法(地域密着型通所介護の創設)
平成30年4月1日施行
 介護保険法(居宅介護支援事業所の指定権限の市町村への移譲)
 
 ↓
 
平成27年6月1日 財務省財政制度分科会 財政健全化計画等に関する建議
 軽度者に対する生活援助・福祉用具貸与等は、日常生活で通常負担する費用であり、原則として自己負担(一部補助)の仕組みに切り替える必要。軽度者の利用割合が高い住宅改修は個人の資産形成そのものである。利用者負担が原則1割となっている中では、利用者の価格考慮のインセンティブが低いため、競争原理が機能せず、価格が高止まりしている可能性。平成27年から地域支援事業へ移行した予防給付(訪問介護・通所介護)についても同様の観点から見直しを行う必要。これらにより、事業者間の価格競争の促進と、サービスの効率化、産業の発展が図られる効果も期待できる。
 軽度者に対するその他の給付(例:通所介護)については、地域の実情に応じたサービスを効率的に提供する観点から、柔軟な人員・設備基準として自治体の裁量を拡大し、自治体の予算の範囲内で実施する枠組み(地域支援事業)へ移行すべき。その際には、メニューの統合等により、簡素で分かりやすい体系とすべき。
 
財務省主計局説明
 財務省主計局宇波弘貴主計官(厚生労働係第1担当)は、給付費増大と逼迫する国家財政の中で制度の持続可能性を高めるため、介護保険給付は要介護3以上に重点化すべきだとして、要支援〜要介護2までの軽度者については、保険給付の厚みを薄くしていくべきだと主張。
 具体的には、介護サービスを地域支援事業に移行させ、サービス基準を緩和して価格を低下させるとともに、利用者のコスト意識を高め、事業者の競争を促す観点から、福祉用具や生活援助については原則自己負担に切り替え、要介護度や所得に応じて、一部補助する仕組みに切り替えるべきだとした。 
 問題提起した軽度者の福祉用具の「自己負担化(一部補助)」については、「10割全て負担してもらう考えではないし、補助も保険財源から」としつつ、補助する割合については、予算執行調査で実態を把握した上で、今後、検討していくと話した。
 宇波主計官が問題意識として指摘したのは、福祉用具のスペックと価格の関係が必要以上に高止まりしている可能性や、住宅改修が個人の資産形成になる点。原則自己負担とすることで、「利用者にどれくらいの値段がするものか、コスト意識を持ってもらえるのでは」と説明した。

↓財務省レベルが内閣レベルに

平成27年12月24日 経済財政諮問会議 経済・財政再生アクション・プログラム
 世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点から、 介護保険における利用者負担の在り方について、関係審議会等において検討し、28年末までに結論を得て、その結果に基づいて必要な措置を講ずる(法改正を要するものに係る平成29年通常国会への法案提出を含む)。
 公的保険給付の範囲や内容について検討した上で適正化し、保険料負担の上昇等を抑制するため、次期介護保険制度改革に向け、軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行、負担の在り方を含め、関係審議会等において検討し、28年末までに結論を得て、その結果に基づいて必要な措置を講ずる(法改正を要するものに係る平成29年通常国会への法案提出を含む)。
  
↓内閣の決定をもとに議論開始

平成28年2月17日 社会保障審議会介護保険部会
 厚生労働省老健局の三浦公嗣局長は、経済財政諮問会議の骨太の方針を受けて、公的介護保険において「軽度者への生活援助サービス」はどうあるべきか、「利用者負担の水準」はどの程度にすべきか、現在40歳以上となっている「被保険者の範囲」をどう考えるか。こういったテーマについて検討して年内(平成28年内)に意見をまとめてほしい―。と述べ、介護保険部会の意見をベースにして、平成29年の国会に介護保険法などの改正案を提出する方向を示した。
 
Posted by : forest-hokke | 記事ピックアップ・制度改定 | 19:37 | comments(0) | trackbacks(0)| - |
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