宮城県仙台市にある在宅支援チームフォーレストの役員(理学療法士)がつづるブログです。
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社会保障(3消費税と社会保障)

 前編で、日本の社会保障費の水準について、社会保障費の対GDP比、及び国際比較により、一概に高すぎるとは言えないことを説明しました。 

 では、「なぜ国にお金がない!大変だ!」なのでしょうか。
 それは債務(借金)です。バブル崩壊以降の経済財政政策、金融政策による債務が主因です。
 社会保障を悪者にしないで下さい。

 下図は、債務残高の対GDP比です。

 バブル崩壊以降、急激に伸びてしまっていることがわかります。景気低迷により税収が減り、比率の(分母分子の)分子である名目GPDは低迷、一方で景気刺激策として歳出を増やし、新規国債を発行する。そして国債費(借金返済と金利の支払い)は増え、さらに新規国債を増やしていくという悪循環に陥っています。
 更にこの間の経済財政政策と金融政策の不一致が、悪循環に大量の油を注ぎ、重症化させたとされています。




 
 この悪循環を断つためには、歳出の多くを占める社会保障費を削減するか、税収を増やすしか選択肢は無いという論で、民主党から自民党への政権交代時の三党合意に基づいて、国は「社会保障と税の一体改革」として、「消費税率を上げて社会保障財源に充てるとともに、社会保障の効率化を図り伸びを抑制する」という基本政策を策定し、押し進めています。




 ここまでは、よく聞く話ですが、そのまま受け止めて良いのでしょうか?
 税収を上げようと消費税を上げても、全体の税収は上がらないという側面があるようです。税収は名目GDPに比例すると言われています。日本のGDPのうち約6割は個人消費で占められており、税収増=GDP増のためには、個人消費の拡大が欠かせないとされています。消費税は、この個人消費を冷え込ませるため景気に悪影響を及ぼし、結果として全体の税収は上がらないというのです(下図)。
 消費税率アップと不景気(税収の低下)が、たまたま時期が一致してしまったのならまだ良いのですが、消費税率アップにより景気を後退させて税収を減らしているのなら、言語道断です。
 
 
 ここで大きな疑問がわいてきます。そもそも、なぜ消費税なのでしょうか?
 広く国民から徴収できて(お金がある人からも無い人からも、働いている人からも働いていない人からも)、景気に影響されにくい安定財源という理由のようです。しかし、かえって税収を減らしてしまう可能性があるのであれば、
資産税、環境税、個人や法人の各種租税回避行為への対応など、総合的に税制を再検討しないのでしょうか?


 中には社会保障費の削減などの緊縮財政政策ではなく、名目GDPを上げるために、お金を市場にどんどん供給し、物価を上げ、足りないなら財政出動していくのが良いという論もあります。
 債務残高やプライマリーバランス(財政収支の均衡)自体を目標とするのではなく、GDPとの比率に目を向け、(分母分子の)分子
GDPアップ(経済成長)を目標とするものです。固定化した財源論にまやかされることなく、成長を財源とし、政府や日銀が明確に約束しその責任を負うのです。GDPアップを図るための財政出動の中には、個人消費を上げるための低所得者層に対する直接給付や、社会保障費の削減ではなく、かえって充実させるべきという論も含まれています。
 

 いずれにしても、社会保障費がまるで悪者のように言われる風潮や、社会保障をまるで人質のようにとって消費税を論じる姑息な風潮は、国のあり様として疑問を強く感じざるをえません。
 消費税が社会保障の目的税化している国は、世界中みてもどこにもありません。驚くことに日本だけなのです!

(つづく)



 

Posted by : forest-hokke | 社会保障を考える | 20:58 | comments(0) | trackbacks(0)| - |
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