宮城県仙台市にある在宅支援チームフォーレストの役員(理学療法士)がつづるブログです。
http://www.team-forest.net/

※掲載されている写真は、個人情報保護法に基づき許可を得て掲載されています。

<< 社会保障(3消費税と社会保障) | main | 社会保障(5各論) >>
社会保障(4再分配)
 資本主義社会のもとでは、必ず格差が生じます。従って必ず必要になるのが再分配であり、資本主義社会には必ず必要な機能です。
 社会保障も、この再分配機能の重要な柱の一つです。税や保険料などにより徴収し、各格差を減らすように再分配します。格差には、単純な貧富の経済格差の他に、世代内格差、世代間格差、地域間格差などがあります。
 経済格差を埋める性質が強い税としては、所得税の累進課税、資産課税、贈与税などがあります。一方で、逆進性(目的の逆の効果が出る=低額所得者層ほど影響大きい)の強い税としては消費税があげられています。あれ?
 
 さて、一昔前の日本は「一億総中流社会」と言われ、貧富の格差は小さいとされてきました。しかし、近年この貧富の格差が拡大していると言われています。様々な論がありますが、「一億総中流社会」と言われていた時代にも格差はありましたが、経済成長しているために顕在化しませんでした。しかし、バブル崩壊以降、デフレ(物価下落)の悪循環に突入し、経済成長しなくなったために格差の問題が顕在化してきたといわれています。
 
 「もはや成熟した社会では、経済成長は望めないとして、むしろ物価が下がること(デフレ)は、低所得者にとっても好ましいことである。財政も経済規模に合わせて緊縮させていくべき」いう論もあります。
 
しかし、経済成長できないことで就職氷河期に入り、この世代の世代内格差は大きく広がりました。経済的理由での未婚や少子も進みました。生活の基盤となる雇用環境は全年齢層で不安定化しました。経済的理由での自殺や軽犯罪も増えたとされています(下図)。
 
そして、経済規模に合わせて財政を緊縮させていく場合には、社会保障費が毎回ターゲットになります。特に年金に至っては、改正が行われる度に全ての年齢層に対して将来不安を与え、それによって更に経済規模を縮小させる悪循環が生じると分析されています。いまや年金だけでは生活できません。老後に備えて貯蓄していかなければ生きていけません。

 2740-1.gif



 さて、再分配機能を発揮させるためには、格差を埋める方向で徴収し、格差を埋める方向で給付します。下図は、各所得層における徴収と給付を比較することによって、再分配機能を示した図です。各所得における傾斜が強いほど再分配機能が強いということになります。
  徴収(下図の左側)は、税と社会保険料によってなされます。税は、最高税率の議論があるものの一定の累進性(所得に応じた負担)があります。しかし保険料では、健康保険は標準報酬月額121万円が上限となっていて、年金では62万円までしかありません。過去に改正議論がなされて見送られた経緯がありますが、少なくとも年金も健康保険にあわせるなど再分配機能を高めるべきではないでしょうか。 
 一方、給付(下図の右側)では、所得に応じた分配の差が少なく、再分配や保障という機能が弱いことが良くみてとれます(この図は2008年の調査です。現在は医療や介護の負担割合が変わっていて、図上でも若干変わると思います)。年金支給や、医療や介護の自己負担については、次編で書きたいと思います。





 これまで社会保障(2)(3)で書いてきたように、社会保障費の対GDP比や債務残高のGDP比にしても、やはり「経済成長(GDPアップ)を目指し、その成長を適切に再分配していく姿」が健全な豊かな社会といえるのではないかと私には思えてなりません。


(つづく)




 
 
Posted by : forest-hokke | 社会保障を考える | 19:22 | comments(0) | trackbacks(0)| - |
コメント









この記事のトラックバックURL
http://forest-hokke.jugem.jp/trackback/95
TOP