宮城県仙台市にある在宅支援チームフォーレストの役員(理学療法士)がつづるブログです。
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社会保障(5各論)
 ここまで(1)〜(4)を通して、社会保障について経済学関連で論じられていることが多いことから、その視点で私なりに勉強してきたことを、総論的に書いてみました。「年金」「医療」「介護」の各論については書くためらいもありますが、経済の面から論じられていたものを、再分配や公平公正という視点で選んで、シリーズの最後にしたいと思います。

 
年金
 個人が年金保険料を払えるのに払わない額、また、事業者が厚生年金への加入や支払いの不正を行っている額は、報道や調査にもよりますが6〜10兆円にものぼるとされています。消費税3〜5%に相当するとんでもない額です。消費税率アップを語る前に必ず解決しなければ道理が通りません。支払い免除や減免制度もありますので、保険料の支払いについての公正性は、しっかりと担保する必要があると思います。マイナンバー制度によりそれなりに適正化されるとも言われていますが、根本的には行政コスト削減も併せて歳入庁を創設すべきだという意見もあります。
 また、詳細な説明は省きますが、いわゆる130万円の壁や34時間の壁を段階化していくこと、更に国民年金1号保険料も定額ではなく累進性を持たせること、最高標準報酬月額を高めていくことは、再分配機能を高めていく観点で必要ではないでしょうか。
 
 支給額について、国民年金のみの年額は最大でも80万円弱です。これで社会保障と言えるような水準なのでしょうか。結局、生活が成り立たずに生活保護になる場合も少なくなく、生活保護に占める高齢者の割合は5割に近づいており、そもそも何のための年金制度なのか理解しがたい状況にすらなっています。国民年金と生活保護との公平性の問題は必ず出てきます。支給額そのものもありますが、医療や介護について生活保護は現物給付となり無料なのも不公平を助長しています。支給額は医療や介護負担などの各種要素も含めた上で、せめて生活保護水準を下回らないようにしていく必要があるのではないでしょうか。このような状況では、老後のための備えとして貯蓄や民間保険にお金が流れていくのは当然のことであり、個人消費に影響し景気にも影響する悪循環の一因になり得るのも理解できます。

 一方で、生活保障保険という基本概念に変更して、支給額を所得や資産による累進性をもたせ、支給ゼロの人もいて良いのではないでしょうか。

 
 

 

 
医療
 高齢化により有病率が高くなり、また、医療の高度化により医療費は増え続けています。この削減のため、医療制度改革や診療報酬の削減が行われています。
 経済の専門家が医療費の無駄として、人生の最後を迎えるにあたっての尊厳について語っていました。経済で語るなんて不謹慎な!とも感じましたが、最も急性期かつ重度病床の7対1病床にまで在宅復帰率が導入された現実を考えると、制度設計ではなく、根本的なことを考える時にあるとも思えてきます。
 北欧の福祉大国であるデンマークやスウェーデンには、「いわゆる寝たきり老人はいない」と、どの福祉関係の本にも書かれています。その理由は、「高齢、進行性の病気や死を迎えざるを得ない病気などで、自分の口で食事をできなくなった場合には、徹底的に嚥下訓練が行われますが、それでも難しい時には無理な食事介助や水分補給を行わず、自然な形で看取ることが一般的です。そのような場合に、肺炎を起こしても抗生剤の注射もしません。内服投与のみです。したがって両手を拘束する必要もありません。それが人間らしい死の迎え方だと考えられていて、胃に直接栄養を送る胃ろうなどで延々と生きながらえさせることは、むしろ非倫理的だと広く国民が認識している」のだそうです((注)ここでは良いか悪いかを論じるつもりはありません)。
 リハビリテーションの理念を埋め込まれた私からすると、いつも障害をもたれた方々に接しているのと同じようなことを、自然と考えてしまいます。人生の最後を迎えるにあたり、その人その人がふさわしい望む最後を迎えられるよう、情報提供など自己決定に向けて援助し、その決定を尊重して寄り添っていくという基本姿勢です。「画一的な入院期間、治療が有る無い、治せる治せない」ではなく、どの病床群であれ、自己決定できるよう援助するに必要な体制と時間が取れるよう、そして自己決定を尊重できるようインセンティブを行っていく必要があると考えます。
 
 


介護
 介護保険分野でも2割自己負担が始まりました。所得に応じた応分の負担は、再分配の原則からしても必要です。しかし、「控除後の所得が160万円以上」が2割も負担しなければならないような水準でしょうか。別に月限度額があるとはいえ、年金制度と併せて考えていかなければならない”そもそも論”の問題でもあると思います。自己負担については1割か2割かではなく、医療とあわせてもっと細かい段階を設け、再分配機能を高めていくのが望ましいと考えます。

 公正という観点から、支給の適正化について一つだけ触れたいと思います。介護保険において最も重要な役割を負われていて、また権限も大きいのが介護支援専門員の方々です。しかし、介護支援専門員が雇用されている場所により、ケアプランが左右されている現実があります。集中減算などで国も対応しようとしていますが、介護支援専門員の方々の専門性が純粋に発揮できるよう、いずれ抜本的に見直していく必要があると思います。市町村への指定権限委譲の時がチャンスなのかもしれません。特に昨今話題が多い各種住宅型施設において、無関係な外部法人の介護支援専門員がかかわることは、もはや喫緊の必須事項だと考えます。



 
Posted by : forest-hokke | 社会保障を考える | 18:13 | comments(0) | trackbacks(0)| - |
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